口腔外科の主な病気と治療
抜歯
むし歯や歯周病などが進行し、歯の保存をすることができない場合には、歯を抜かなければいけないこともあります。近年の歯科医療では、可能な限り歯を残すという考え方が第一選択としてありますし、当院でも可能な限り歯を温存する方針で治療に臨んでまいります。しかし、温存不可能な歯があったり、お口の中全体の環境を改善するために抜歯を必要とするケースもあるのが現状です。歯の矯正や他の疾患の治療のために抜歯を行うこともあります。
多くは局所麻酔下で行われますが、入院し全身麻酔下で行うケースもあり、状態によって抜歯方法も様々です。また、血液疾患で出血が止まりにくい症例や他臓器の疾患の影響を考慮して、抜歯を避けるというケースもあります。当院では親知らずだけでなく、全身疾患がある患者様の抜歯も行っていますので、ご相談ください。
口腔粘膜疾患
口の粘膜(舌・頬・口蓋・口底・口唇・歯肉など)に、炎症や腫瘍、アレルギー症状などが出現する疾患をいいます。口腔内の粘膜は刺激を受けやすく、常在菌も多く存在しています。そのため症状が変化しやすいという特徴がありますが、「腫れ」、「えぐれ」、「変色部位」などを入念に診断し、適切な治療へとつなげています。
口内炎
口内炎の原因は様々です。ストレスや疲れによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB群など)、口の中を噛んでしまうなどの物理的な刺激、ウイルスによる感染やアレルギー反応などが考えられるほか、原因不明な場合もあります。他の病気の一症状として口内炎が出ることもあるので注意が必要です。
代表的な口内炎の種類と症状
痛みを伴う赤く縁取られた丸くて小さい潰瘍が、頬や唇の内側、舌、歯肉などにできる。
口腔粘膜に多発性の小水疱が形成され、破れてびらんを生じる。感染性があり、発熱や強い痛みがある。
入れ歯や矯正器具が接触したり、頬の内側を噛んでしまった時など刺激により生じる。
口内炎の治療
口腔内の環境を清潔に保つことと、ストレスや疲労をためて免疫力を低くださせないようにすることが大切です。口内炎がよく同じ場所にできる場合は、口の中の何かが原因で、物理的刺激が常にある状態になっている可能性が高いので、歯の形や修復物、入れ歯など調整をすれば解決するかもしれません。またビタミンB群が不足すると口内炎ができやすくなるので食事やサプリから摂取すると良いです。歯科医院では、塗り薬を塗布したり、処方することで痛みの緩和を図ります。
顎関節症(がくかんせつしょう)
顎の関節とその顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。「顎が思い通りに動かずに、食べ物が噛みにくい」「顎を動かすとカックン、コッキンといった不快な音がする」「痛みで口が開かない」といった症状が認められますが、顎だけでなく、片頭痛や肩こり、腕や指のしびれ、鼻や耳にも不快感が生じることもあります。原因としては、ストレスを含む精神的な要因、噛み合わせの異常、夜間の歯ぎしりやくいしばり、頬杖(ほうずえ)などの癖、解剖学的な問題などが考えられています。
症状は多岐にわたり、軽度から重度まで個人差が大きいという特徴がありますが、重い症状の場合、放置すると進行して顎の機能が破壊されてしまうこともまれにあります。症状があればお早めの受診をお勧めします。
顎顔面外傷(がくがんめんがいしょう)
口まわりや口内、顔面に負った外傷を顎顔面外傷といいます。歯の割れ・折れ・打撲・脱臼、口腔内粘膜の傷、顔の皮膚の傷、顎顔面骨の骨折などがあります。交通事故や転倒、打撲など原因は様々です。顎顔面外傷は機能面の問題もありますが、外見面でも問題になることがあります。負傷箇所にもよりますが、早期治療によって両面とも回復が望めますので早めの受診が大切です。
顎変形症(がくへんけいしょう)
上顎骨や下顎骨、あるいは両方の形や大きさ、位置異常によって、顔面の変形や咬合不全を起こしている状態をいいます。通常の矯正治療で対応できない顎変形症は、外科的矯正手術が検討されることがあります。治療は噛み合わせの改善に重点が置かれます。
口腔内腫瘍
口腔腫瘍は、大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。良性腫瘍には顎骨という硬組織に生じる歯原性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫など)、軟組織に生じる非歯原性腫瘍(乳頭腫、線維腫、血管腫など)があります。一方、悪性腫瘍である口腔がんは、発生部位によって分類されており、舌がんや歯ぐきにできる歯肉がんが代表的です。
口腔がんの発生要因は数多くありますが、代表的なものは喫煙と飲酒です。喫煙者の口腔がんによる死亡率は、非喫煙者の約4倍といわれており、重度の飲酒もハイリスク因子と考えられています。不潔な口腔衛生状態やヒトパピローマウイルス(HPV)感染なども原因とされています。
口腔がんのできやすい場所は舌・歯茎・頬の粘膜です。中高年齢の方は、毎月セルフチェックを行い少しでも気になることがあれば、診察を受けることが大切です。
口腔がんのセルフチェック
- 治りにくい口内炎や出血しやすい傷がある
- 口腔内に盛り上がったできものや固くなった部分がある
- 顎の下や首の脇に腫れがある
- 食べたり飲みこんだりすることがスムーズにできない